色々調べていくうちに見つけたのが左の写真です
  キャビネットやダイニングテーブルと一緒に
  海外のオークションに出品されていた
  マジョレルのダイニングチェアです
  フォルムが同一であるだけでなく
  前側の脚の先端の形や
  背もたれの上下中央にくぼみがあるところまで全く同じです
  背もたれの2本のカーブを描いた木材が
  そのままの形状でマルケトリーに変わっている点と
  座面が籐の編み込みではなく布張りになっている点
  そして 背もたれの上部両端に彫刻されている麦の図柄がない点が異なります

  また同じデザインで座面が革張りのものと
  座面・背もたれが布張りのものも確認できました(写真下2枚)
どちらも背もたれの上部両端に彫刻が施されていません
  『Masterpieces of Art Nouveau Furniture:The Majorelle Catalogue ca.1910』にも
  この椅子が掲載されています(写真右2枚)
    上が布張りの座面 下が籐の編み込みの座面になっています

  以上のことから
  このデザインの椅子には様々なバリエーションがあり
  私が購入した4脚も そのバリエーションの1つであろうと判断しました

  マジョレルの椅子については そのほとんどが植物が彫刻された作品で
  マルケトリーが施されているものは決して多くはありません
  実際『Masterpieces of Art Nouveau』にも
  マルケトリーの椅子は1点も掲載されていません
  時折市場に出回りますが 驚くほど高額です
  今回 手ごろな価格で4脚も購入できたのは
  本当に幸運だったとしか言いようがありません
  このあと修理代がどれくらいかかるか怖くはありますが(笑)

 
 
    

  追記


  フランスのとあるギャラリーのHPで
  Majorelleのアームチェアを
  見つけました(写真左)
それによると1905年の製作となっています
  背もたれのマルケトリーの図柄が
  上記の下二つの椅子と
  酷似しています
  アームチェアの図柄の
  一番下にある3つの実が
  ダイニングチェアにはないだけです
  前側の脚の先端の形状を見ても
  おそらくこのダイニングチェアと
  同じシリーズのアームチェアでしょう

  正直 こちらの図柄の2脚は
  状態があまり良くなく
  落札しようかどうか迷っていました
  今 こうして私の手元にあるのは
  こういう縁があったからだなぁと
  実感しています