(10.5cm)

Paper Knife La Pensée

Designer : Frédéric Charles Victor de Vernon
Maker : ?
Year : 1903

『思惑』というタイトルの付いたVernonのペーパーナイフです
通常使われる「猪の頭」のマークではなく
メダルに使われる「豊饒の角」と「ARGENT」の文字とが裏側に刻印されています
10.5cmという小ささですからブックマークも兼ねていたのかも知れません
私も自宅でしおり代わりに使おうかと目論んでおります
なんて贅沢な読書!
下の方にパンジーがあしらわれていますが
これはフランス語で「思索」と「パンジー」の綴りが同じだからで
いわゆる掛詞になっているというわけです
Vernonの作品を見て常々思うのはバ・レリーフの見事さ
今回も背景の木や草がきわめて薄いレリーフになっていて
見事に遠近感を表現しています
Vernonの作品は近年ますます評価が高まっており
有名なブロンズのメダルは公式のリプロダクションが作られています
今年に入ってからジュエリーのリプロ(もちろん非公式)も出回り始めています
評価が高まるとリプロが出回るというのも皮肉な話ですが
ジュエリーのような小さな品物ですと
リプロでは彼のバ・レリーフを表現しきれるはずもないので
冷静にじっくり観察すればすぐに判断がつきます