実は一番珍しいのが この「ナイフ」
この時代のフランスのディナーセットは
テーブルフォーク・テーブルスプーンが基本のセットで
(ティースプーンやスープレードルが入る場合もあります)
ナイフだけは別売りになっていました
ですからセットでナイフが入手できるというのは
きわめて稀なことなんです
チャイルド・セットにはナイフも含まれていますので
こうして運良く入手できたわけです
また 通常のテーブルナイフは
刃が鉄製なんですが これは珍しく銀製
しかもヴェルメイユまでかかっています
さらに 写真ではわかりにくいんですが
柄のサイドにまでヴェルメイユが施されています
図柄は 表が桔梗 裏がテッセンでしょう

Table Kife (21.0cm)

柄(表) 刃(表) 柄(側面) 柄(裏) 刃(裏)

図柄は 表がテッセン 裏が撫子です
子供用なので刃の裏側に図柄がありませんが
大人用ですと刃の裏側にも象眼で華の模様が描かれています
テーブルフォークはカトラリーの中で一番傷みやすいんですね
というのも 葉の先端が折れたりすり減ったりするからです
ですから オークションなどではスプーンが6本そろっていても
フォークは数本欠けているなんてことも珍しくありません
このフォークはヴェルメイユも全くはげていませんし
おそらく未使用ではないかと思います

スプーンの図柄は「菊尽くし」です
表は小菊 裏は雛菊でしょうか
テーブルスプーンもフォークと同じく
大人用には皿の裏側まで象眼模様があります
テーブルスプーンとフォークの写真ではっきりとわかりますが
柄の縁の所にもヴェルメイユが施されています
一見目立たないんですが
これがデザインとしてしっかり効いていて
全体を引き締めています

ティースプーンの図柄は 裏側がテッセン
そして 表は私の大好きな蜻蛉です
一見陰刻だけの素っ気ない作りのように見えて
実は 細く伸びた草の葉の1枚1枚には
イエローゴールドの象眼が施されています
写真では 裏側のヴェルメイユがはげているように見えますが
これは光の加減でそう見えるだけで
実際にはまったく使用感がありません

Tea Spoon (14.3cm)
柄(表) 柄(裏) 皿(上・表:下・裏)
Table Spoon (18.3cm)
柄(表) 柄(裏) 皿(上・表:下・裏)
Table Folk (18.2cm)
柄(表) 柄(裏) 刃(上・表:下・裏)