数年前、私としたことが大ポカをやらかしてしまいました。Vernonのコインパースを手入れしていた時に、うっかり落としてしまい、それだけならまだしも、さらに上から踏んずけて、コインパースのメダル部分を割ってしまったんです。


幸い、メダル自体に破損はありませんでしたが、パースとして修理するのは不可能な割れ方をしてしまいました。せめてメダル部分だけでも使えるようにしようと、いつも修理をお願いしていた東京の業者さんに連絡を取ろうとしたら、いつのまにかジュエリー業者さん以外の注文は受け付けないことに。これには本当に参りました。


アンティークジュエリーはへたな業者さんに修理をお願いすると大変なことになります。以前、シルバーのブローチの留め具が破損した際、とある業者さんにお願いしたところ、留め具がはんだ付けされて返ってきたことがあります。これには呆然とするしかありませんでした。


そこで、とりあえずネットで県内の工房を調べてみたところ、1件だけ「これは」と思える業者さんを見つけました。自社工房を持ち、オリジナルジュエリーを製作している業者さんです。今まで修理した品物やリメイクした品物をホームページに載せていて、これならお願いしてもいいかなぁという気になりました。ちょっと距離はありますが、自転車で行けそうだったので、思い切ってお願いすることにしました。サイズ直しをしたい指輪も3点ほど一緒に預けることにしました。


                             


一週間後、まずは指輪が出来上がったということで受け取りに行ったところ、その技術の高さと気遣いにびっくり。元の指輪の質感にきちんと
合わせてサイズ直しがなされていたんです。


さらに一週間後、Vernonのメダルのリメイクが終わったと連絡があり、期待半分、不安半分で受け取りに伺いました。

                                  
       

 
出来上がった品物を見てびっくり。そこにあったのは、私がイメージしていた通りの、いえ、イメージしていた以上の品物でした。


熱が加わることで色目が若干明るくなることは、私も承知していました。驚いたのは質感が全く変わっていなかったこと。オリジナルの金の質感を殺すことなくリメイクをしてくださっていたんです。


そして、裏側を見てまたまた驚愕。不要な部分をカットした金を使って、メダルの下の部分に新たに枠が施されていました。「下も上と同じような形にしてほしい」とお願いをしてありましたが、使い勝手や堅牢さまで考慮して、枠を作ってくださったんです。


お話を伺っているうちに、こちらのお店では和光に品物を納めているということも知り、さらに驚愕。まさか地元にこれほど優れたお店があったとは・・・。
                                  

おそらく私より10歳以上若いであろう職人さんでしたが、その腕のすごさに舌を巻きました。

プロフェッショナル Part 2