確率100%

基本的に実用品以外は購入しないのですが、時折何がなんだかわからないうちに衝動買いをしていることがあります。家に帰ってから冷静になって、「何でこんなもん買ってきたんだろ?」と自分の馬鹿さ加減にあきれ果てます。かつて痴呆だった祖母が「マンナンライフ」を5箱も買って帰ってきたことがあって、家族一同あきれかえったことがありましたが、今では私も祖母のことはいえません。おばあちゃん、ごめんなさい。


話を元に戻して。写真はどちらもオペラグラスです。上の写真が最初に買った象牙製の品。下の写真が鰐革製でつまみの部分はセルロイドでできています。どちらも衝動買いで購入したもので、象牙製のやつの時はまだしも、鰐皮製のものを購入したときは、我ながらほとほとあきれかえってしまいました。



私、オペラは見ないんですね。いえ、DVDでなら見ますよ。でも、わざわざ東京まで出かけてみるということは滅多にしないんですよね。別にクラシックが嫌いなわけはないんです。ピアノや弦楽器のリサイタルとか室内楽のリサイタルはむしろ好きなんです。敬愛する演奏家が来日しようものなら、喜び勇んで聴きに行きますよ。でも、オペラだけは行かないんです。そういうわけですから、私にとってオペラグラスなんぞは無用の長物でありまして、出番があるはずもなく、長いこと我が家のキャビネットに飾られたままになっているわけです。


ところが、この二つのオペラグラス、どちらも1度だけ使ったことがあるんです。もちろんオペラを見たわけではありません。


この二つのオペラグラスを買った後なんですが、どちらも1週間以内に新彗星が発見されているんです。象牙製の時は百武彗星が、鰐皮製の時はヘールボップ彗星がそれぞれ発見されて、地球に大接近してきたんです。で、深夜、もしくは早朝まで起きていて、マンションの屋上に寝転がって、この二つのオペラグラスでそれぞれの彗星を飽きもせずに眺めていたというわけです。彗星の尾が本当にきれいだったことは今でもはっきり覚えています。


私は典型的な文系人間で、理系科目は小学生の頃からからっきしだめでした。とにかく興味がわかない。生物は動物好きが幸いして難なくこなすことができましたし、数学は答えが出たときのすっきり感がありますから多少は頑張れたんですが、物理・地学・化学はまるでだめ。中でも地学は退屈で退屈で、毎日居眠りと格闘していたくらいです。私があまりに居眠りするのに先生が業を煮やして「今度寝たら赤点つけるからな」とはっきりおっしゃったので、眠くなったら洗濯ばさみでほっぺたを挟んでました(笑)。・・・格闘していませんね。しっかり寝てました(笑)。


そんな私ですから、普段であれば彗星になんて全く興味を示さないはずなんです。実際、ハレー彗星が大接近したときも、「へ〜」という程度の反応でしたし。百武彗星を見てみる気になったのは、1度でいいから、双眼鏡代わりでいいから、このオペラグラスを使ってやろうと思い立ったからです。


で、ヘールボップ彗星を見た後はたと思い当たったわけです。このオペラグラスたちは私に彗星をじっくりと眺めさせるために私のことを呼んだのではないか。そうでなければ、なぜゆえ衝動買いをしたのかわからないんですね。


ヘールボップ彗星の後、新彗星発見のニュースを聞くことはなく、私がオペラグラスを衝動買いすることもありません。